コラム

会社を設立した場合に必要な届出書類

2009年12月23日 | 起業支援

会社の設立や個人事業の開業をしたら所轄税務署と都税事務所(県税事務所及び市区町村)に事業を行うことを届け出る必要があります。出生届けのようなものです。その他、その事業について税務上どのような選択を行うのかという方針をあわせて届け出ておく必要があります。
このうち特に重要なのが『青色申告の承認申請書』です。絶対に忘れないようにしなければなりません。その詳細と用紙の入手方法などについてご説明します。

会社の出生届はたくさん必要になる

会社を設立したら、税務署・県税事務所、市区町村にそれぞれ設立関係の届出書を提出しなければなりません。提出が必要となる書類は次の通りです。

税務署に提出する必要がある書類

書類名と入手先 提出期限 備考
法人設立届出書 設立登記の日から2ヶ月以内 出生届そのもの。この書類が提出されないと、税務署はその会社の存在を知ることができない。
青色申告の承認申請書 最初の事業年度終了の日の前日と設立登記の日から3ヶ月を経過した日の前日のいずれか早い方の日まで 青色申告の承認をとるためにはこの書類を出さなければならない。
給与支払事務所等の開設届出書 事務所開設日から1ヶ月以内 従業員を雇って給与の支払を行う場合にこの届出が必要となる。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書
特に定めはない この書類を出しておくと給与などの支給時に発生する源泉税の納付を年2回だけにすることができる。ただし、従業員等が10人までしか使えない。
棚卸資産の評価方法の届出書 設立後最初に到来する確定申告期限まで(通常は決算日の翌日から2ヶ月) 法定評価方法(最終仕入原価法)以外の方法を適用しようとする場合のみ必要となる。
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書 設立後最初に到来する確定申告期限まで(通常は決算日の翌日から2ヶ月) 法定評価方法(移動平均法)以外の方法を適用しようとする場合のみ必要となる。
減価償却資産の減価償却方法の届出書 設立後最初に到来する確定申告期限まで(通常は決算日の翌日から2ヶ月) 法定償却方法(定率法)以外の方法を適用しようとする場合のみ必要となる。

県税事務所及び市区町村に提出する必要がある書類

書類名と入手先 提出期限 備考
法人設立届出書 特に定めはない  

東京23区に本店が所在する場合、都税事務所が県税事務所と・市区町村を兼ねていますので、提出先は都税事務所のみで構いません。
税務署だけ提出する方が時々おられます。県税事務所や市区町村、あるいは都税事務所にも必ず提出するようにしましょう。

青色申告の承認申請は絶対に忘れないで

青色申告の承認をもらっているかいないかで大きな差が出やすいのが、設立間もない会社です。
青色申告法人には、一定の帳簿の作成と保管を行うことを条件として、いくつかの税務上の恩典が与えられています。
その典型が「青色欠損金の繰越控除」という制度です。これは、青色申告法人である期間中に発生した税務上の赤字を、その発生年度後7年間の利益と相殺することを認めるというものです。
設立初年度は事務所設置費用など多額の支出を伴うことが多く、また、いきなり多額の売上を計上することができず赤字決算となることがしばしばあります。こういう場合に発生した赤字を翌年以降の利益と相殺しない手はありません。

しかし、そのためには上記所定の期限までに『青色申告の承認申請書』を所轄税務署に提出しておかなければなりません。
1日でも期限が過ぎると効力がなくなりますので注意が必要です。国税庁のホームページには『持参または郵送』と記載されていますが、期日までに所轄税務署に提出されて(期限までの収受印がスタンプされていること)が絶対条件となります。

近所の税務署に出せばいいと言うものではない

書類の提出先は複雑です。特に税務署が難解なので注意しましょう。
書類を提出する税務署は、その法人の本店の所在地を管轄する税務署です。近所の税務署に出せばよいと言うものではありません。たとえば、世田谷区に本店があるから世田谷税務署に提出すればいいかというと必ずしもそうなっていないのです。
国税庁のホームページに税務署の管轄区分が記載されていますので、参照してみて下さい。

届出書の記載項目にもノウハウがある

届出書の記載方法は、税務署のブランクフォームに細かく説明されています。しかし、専門用語が多数使用されているため素人には理解できないものも多々あると思います。税務署に行って質問すれば丁寧に説明してもらえますが、それを記載することでどのような有利不利が発生するかまでは説明してもらえないかもしれません。





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