コラム

資本金の決め方

2009年8月4日 | 起業支援

資本金はいくらにすればよいのか?

以前であれば300万円や1,000万円といった大まかな目安がありました。会社法により最低資本金制度がなくなったので、資本金は10万円でもよく、自由に決められるようになりました。自由度が高まった分、では一体いくらにすればよいのか?と悩まれることも多いのではないでしょうか。
今回は資本金設定に関するあれこれについてまとめてみます。

イメージとしての対外的な信用

旧商法時代では、株式会社は有限会社よりも格が上!?というイメージがあったのか、無理をしてでも資本金を1,000万円に設定することが多かったものです。有限会社というだけで、零細というイメージがあった?のと、上下を決めたがる傾向がどこかにあったからなのかもしれません。

現在では、通常のビジネスを行う上では、「株式会社」を設立することになり、有限会社を設立することができません。元々このような比較をしても意味がないので、法律もそのように修正された訳です。

そうはいうものの、起業時にはやはり信用が気になるもの。やっぱり、1,000万円はないと昔の有限会社扱いされるのでは?と考えてしまうようです。このような不安をお持ちの方に一言申し上げますと、昔から資本金が1,000万円あってもなくても、外部から見れば同じです!
資本金が1億円あると言うのであれば多少は変わるかもしれませんが、1,000万円も900万円も500万円も信用面で大差があるとは思われません。このことは最低資本金制度があった当時から同じだと思います。

財務的な信用

会社の設立直後の純資産は「資本金=純資産」という状態になります。
純資産がプラスの状態が資産超過、マイナスの状態が債務超過ということになります。
近年、B/Sに対する評価の目が急激に厳しくなり、債務超過状態の会社に対する信用評価が厳しくなりました。

                A社            B社

資本金          1,000万円        300万円

累積損失          900万円        100万円

純資産           100万円        200万円

たとえば、上記のA社とB社では、単純な純資産の比較では、B社の方が健全ということになる訳です。もっとも、相手方に自社の貸借対照表を提出しない限り、上記の実態を把握されることはありませんが、見ればわかってしまいます。

資本金の話に戻すと、当初の事業計画で見込まれる初年度損益見込がもし赤字ならば、少なくともその赤字額以上の資本金を設定しなければ、債務超過になってしまう可能性が高いということになります。債務超過状態は経営的にみれば破綻状態とも言われる訳で、極力回避しなければならない状態です。
資本金は、抽象的な信用問題として捉えるのではなく、損益計画をよく検討して決定する必要があるといえるでしょう。

税務的な影響

資本金をいくらにするかという問題は、税務上の取り扱いにも影響を及ぼすことがあります。たとえば、次のような問題につながることがあります。

(1) 特殊支配同族会社の役員報酬の一部損金不算入の適用要否
(2) 一部の中小企業優遇税制の適用可否
(3) 同族会社の留保金課税の適用要否
(4) 交際費の損金算入限度額
(5) 新設法人の消費税の納税義務の要否
(6) 住民税の均等割
(7) 外形標準課税

複雑な話になりますので、これらの解説は別の機会にあらためることにします。

多面的な配慮が必要となる

資本金をいくらにするかということは、会社設立時の基本テーマですが、上記のように非常に複雑な問題が絡み合った問題でもあります。派遣登録のように財務的な基礎条件が定められている場合もあります。設立時の登録免許税が高くなるとか安くなるといった次元の問題ではないかもしれません。

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