コラム

中小企業の機関設計パターン

2009年8月10日 | 起業支援

複雑になった会社の機関設計

会社の設立に際しては、会社の機関を決定する必要があります。「機関」というのはあまり馴染みのない言葉だと思いますが、株主総会、取締役会、取締役、監査役会、監査役、委員会、会計監査人、会計参与を意味します。現在の会社法ではその会社の運営のあり方としてこれらの機関を組み合わせて決定できることになっています。
従来の株式会社の機関設計は、株主総会+取締役会+取締役+監査役(監査役会)が基本形でした。有限会社は、社員総会+取締役が基本形でこれに他の機関を追加できるという法律構成でした。会社の種類で機関のパターンが画一的に定まるというのは実務的ではないとの理由で大幅に改正されたのですが、その結果、組み合わせは膨大なパターンとなり、混乱することも多いと思います。

非上場の中小企業で想定されるパターンは?

上場を前提としない中小企業ではどのような機関設計が使いやすいのか!?
これがポイントですよね。

ここでは、個別のパターンの解説はしません。一般的な中小企業を前提とするため、設置可能な機関のうち、監査役会、委員会、会計監査人は度外視して考えることにします。

株主総会 取締役 取締役会 監査役 会計参与
パターン1
パターン2
パターン3
パターン4

株主総会と取締役は非設置にはできない必須の機関ですから除外することはできません。会計参与はどのような場合にも設置することができ、監査役を置かない場合に取締役会を設置するには会計参与を設置する必要があります。
取締役会を設置すると株主総会に集中している権限を大幅に取締役会に委譲することができます。いちいち株主総会を開催しなくても決定できるわけです。また、取締役会を非設置にすると株主に取締役監督権が存在することになります。たとえば、競業取引や自己取引を行う場合に株主総会の承認手続きが必要となります。
監査役は取締役の職務執行を監査する職責ですが、取締役会を設置する場合にだけ設置することができます。逆に、取締役会を設置するためには、監査役か会計参与を設置する必要があります。

ポイントは取締役会に権限を委譲しておく必要があるか

取締役会がない場合、増資や代表取締役の選任などをいちいち株主総会で決定しなければならなくなります。株主の利害と社長の利害が完全に一致している場合(社長が100%株式を所有している場合やこれに準じる場合)には、社長が株主総会を完全支配していることになるので、何かを決定する都度株主総会を開催しても特段問題はないはずです。
しかし、株主総会の招集手続をとらなければならず、従業員を株主にしている場合や外部株主がいる場合にはその都度招集手続が必要となります。その分、機動的に意思決定をして動くことができなくなります。経営の機動性を取締役に確保しておく必要がある場合には、取締役会を設置しておいた方が経営をし易いともいえます。仮に社長が2/3以上の株式を所有していたとしても、株主総会の招集手続にミスがあった場合、その株主総会決議を無効や取消とする訴えを他の株主が法的に行うこともできますから注意が必要です。

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